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レディー・マスケティアーズ
第6章 ポルトス ――トーホー開発 特命企画部
 どこに行けばいいか、誰を頼ればいいか。そんなことを考える余裕もありませんでした。とにかく、とにかく逃げなければ……。
 それからの二年間、わたしは国中を転々としました。名古屋から仙台、仙台から大阪。大阪から四国に。
 でも、安住の地はどこにもありませんでした。少し経つと、必ず取り立て屋たちがやってきて、わたしに同じことをするんです。あの男たちがわたしにしたと同じことを……。
 どうして、わたしの居場所があの連中に知れてしまうんだろう。わたしの連絡先は昭人さんにしか知らせていないのに……。
 えっ、今日の「鬼塚金融」ですか?
 訪ねてきたのは一週間前でした。あの業界ではよくあることらしいんですが、取り立てを諦めた闇金が、焦げ付いた負債の権利をほかの闇金に売るんだそうです。
 わたしのところに来た取り立て屋が次々変わったのは、そのせいです。自分が知らないうちに、わたしは次から次へと転売されていたんです。
 そして今、わたしの持ち主は「鬼塚金融」なんです。
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