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レディー・マスケティアーズ
第9章 アラミス ――三軒茶屋 木庭浩一のマンション

ぐったり首を垂れる菜緒美に向かって、木庭茂は、それこそ意地の悪い教師のように声高に言った。
「よし。あとは、お姫様のお目覚めを待つばかりだな」
「ああ」
「もっとも、薬が効くのをのんびり待っていられないぞ。そうだ、浩一! さっき女にもらったカード。あれにも何か仕掛けがあるんじゃないか? 今のうちに調べておこうぜ」
二人は、脱ぎ捨てた上着のポケットから、あわててそれを取り出すと、爪ではがそうとしたり、足で踏みつけたりを繰り返した。
*
三軒茶屋のマンションの一室で演じられている狂宴は、恵比寿駅西口裏手の「海綿清掃」のスクリーンに、余すところなく映し出されていた。
今日そこにいるのは、所長の松永と坂上、工藤の三人だ。
「馬鹿だな。あのカードには何の仕掛けもないのに。それに、三軒茶屋のこの部屋には、おれたちの『一番装備』がとっくに完備されているんだって」
スクリーンの前の坂上が、中指を一本立てた。
木庭浩一をターゲットの一人とにらんだ時点で、銃士隊のメンバー――坂上と工藤の二人――は隠しカメラと集音マイクのセットを終えていた。木庭浩一が、ペットの三好綾香をこの部屋に連れ込むより前からだ。
「それに、アラミスのピアスには、高精度のGPSを仕込んでいる。隣の部屋に移っただけでも、居場所の確認はばっちりさ」
スクリーンの前に座る坂上は、鼻をほじりながら笑った。
「だけど、隊長。確かにアラミスは、SMプレイがいちばんの得意技だし、拷問にはめっぽう強いけど、あの薬はいったい何だろう。催淫剤かな? それとも自白剤かな? あんなものを浴びせられたら、いくらアラミスでも……」
若い工藤が不安そうに言う。
「いいや。あれは普通の女じゃない。これしきのことで根を上げるものか!」
松永は、両手両足を縛られて拷問台でぐったりするアラミスをスクリーン越しに見ながら、強い口調で言った。
「だけど……」
「大丈夫だ」
松永は、工藤の言葉をさえぎった。
「よし。あとは、お姫様のお目覚めを待つばかりだな」
「ああ」
「もっとも、薬が効くのをのんびり待っていられないぞ。そうだ、浩一! さっき女にもらったカード。あれにも何か仕掛けがあるんじゃないか? 今のうちに調べておこうぜ」
二人は、脱ぎ捨てた上着のポケットから、あわててそれを取り出すと、爪ではがそうとしたり、足で踏みつけたりを繰り返した。
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三軒茶屋のマンションの一室で演じられている狂宴は、恵比寿駅西口裏手の「海綿清掃」のスクリーンに、余すところなく映し出されていた。
今日そこにいるのは、所長の松永と坂上、工藤の三人だ。
「馬鹿だな。あのカードには何の仕掛けもないのに。それに、三軒茶屋のこの部屋には、おれたちの『一番装備』がとっくに完備されているんだって」
スクリーンの前の坂上が、中指を一本立てた。
木庭浩一をターゲットの一人とにらんだ時点で、銃士隊のメンバー――坂上と工藤の二人――は隠しカメラと集音マイクのセットを終えていた。木庭浩一が、ペットの三好綾香をこの部屋に連れ込むより前からだ。
「それに、アラミスのピアスには、高精度のGPSを仕込んでいる。隣の部屋に移っただけでも、居場所の確認はばっちりさ」
スクリーンの前に座る坂上は、鼻をほじりながら笑った。
「だけど、隊長。確かにアラミスは、SMプレイがいちばんの得意技だし、拷問にはめっぽう強いけど、あの薬はいったい何だろう。催淫剤かな? それとも自白剤かな? あんなものを浴びせられたら、いくらアラミスでも……」
若い工藤が不安そうに言う。
「いいや。あれは普通の女じゃない。これしきのことで根を上げるものか!」
松永は、両手両足を縛られて拷問台でぐったりするアラミスをスクリーン越しに見ながら、強い口調で言った。
「だけど……」
「大丈夫だ」
松永は、工藤の言葉をさえぎった。

