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レディー・マスケティアーズ
第9章 アラミス ――三軒茶屋 木庭浩一のマンション

「それで、どうしておれたちを嗅ぎ回っている?」
尋問役を務めるのは、年長の木庭茂だ。
「六月に……マンションから……転落死した……桜井美里の……死の真相を……」
舌がもつれて、思ったように言葉が出ない。それなのに、何もかも伝えたくてたまらない。どうして、そんな気持ちが高ぶるんだろう。
「何だと? 六月のことがどうした? あれは事故だ」
女が、小さく首を傾ける。「違う」と首を振ったようにも見えた。
「事故じゃあ……ないかも……しれないと。自殺か……それとも……誰かに……殺されたのか」
「殺された? 依頼人は誰だ?」
「誰なんだ?」
二人の男が、交互に菜緒美を問い詰める。
「塚越……涼子……」
「あのババアか」
「頼まれたことは、ほかにないのか?」
「ほか? あ……ある……。専務の……木庭茂が……会社の経理を……改ざんして……いるか、どうか……不正を……突き止めろと」
「経理だと? ちぇっ。目の付け所だけはほめてやる。しかし、そこまでのことを、女一人の手で解決できると思っていたのか? ええっ? アラミスさんよ」
「わたしのほかにも……仲間が……」
「何だと? そいつらも例の事件を調べているのか。誰だ? その仲間というのは」
「アトス……ポルトス……」
尋問役を務めるのは、年長の木庭茂だ。
「六月に……マンションから……転落死した……桜井美里の……死の真相を……」
舌がもつれて、思ったように言葉が出ない。それなのに、何もかも伝えたくてたまらない。どうして、そんな気持ちが高ぶるんだろう。
「何だと? 六月のことがどうした? あれは事故だ」
女が、小さく首を傾ける。「違う」と首を振ったようにも見えた。
「事故じゃあ……ないかも……しれないと。自殺か……それとも……誰かに……殺されたのか」
「殺された? 依頼人は誰だ?」
「誰なんだ?」
二人の男が、交互に菜緒美を問い詰める。
「塚越……涼子……」
「あのババアか」
「頼まれたことは、ほかにないのか?」
「ほか? あ……ある……。専務の……木庭茂が……会社の経理を……改ざんして……いるか、どうか……不正を……突き止めろと」
「経理だと? ちぇっ。目の付け所だけはほめてやる。しかし、そこまでのことを、女一人の手で解決できると思っていたのか? ええっ? アラミスさんよ」
「わたしのほかにも……仲間が……」
「何だと? そいつらも例の事件を調べているのか。誰だ? その仲間というのは」
「アトス……ポルトス……」

