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第12章 デート付き添い？ありえない…

「それは、お二人さんで決めたら？」
僕は、言った。
「ルミちゃんが決められないんだったら、先輩に決めてもらえばいいよ。ね、先輩？」
僕は、そう言って恐る恐るナオト先輩の顔をうかがった。
僕は、ナオト先輩の顔が地獄の閻魔大王のそれから、地獄に落とされた極悪人のような悲痛な顔に変わっているのを見て、驚いた。
「け…、ケンジ君。お、俺にもよく分からないんだ…。この後、ルミちゃんと何をしたらいいのか…」

いや、これは酷い。
世話のかかる人間が、もう一人増えた。
人は見かけによらないというが、超絶イケメンで女子たちからモテモテで先生たちからも受けがよく後輩男子たちからも慕われている男子が、まさかの恋愛ヘタレとは。いや、意外とあるあるかもしれないかな？
「分からないときは、本能に従えばいい。ルミちゃんとやりたいことを、やればいい」
と言いたかったが、どうせ言っても意味わからないだろうし、やめた。

「じゃ、デートでもしてくれば？」
といいかげんに言ってみると
「ア♡それ、いい～♡分かった～♡」
「え、それいいな。よし、デートしよう」
と二人は、うんうんうなずいた。

「じゃ、僕はこれで」
「ケンくん～～～♡」
ああ、嫌な予感しか、しない。
「ケンくん♡わたし、デートで何をしたらいいか、分かんないよう～～～♡それに、めちゃくちゃ緊張して、不安いっぱいだよう～～～♡ケンくん～～♡付き添い、お願い～～～ッ♡」
あああああ…。
デートに付き添い？酷すぎる。
それに普通の付き添いなら、まだアリかもしれないが、ルミのことだ、
「お乳を触っていて～～♡」
「おしりに触っていて～～♡」
とか言い出すに決まってる。
僕は、ナオト先輩の再び閻魔大王と化しただろう顔を予想し、背を向けた。

するとその先輩から、意外に声がかかってきた。
「ケンジ君。きみ、付き合ってる女子はいないのか？」
先輩は、僕とルミの関係をまだ疑っているようだ、まあムリはない、疑うのが普通だ、おしりに触ってたんだから。
「…います」
まだデートなどはしていないが、両思いの女子はいる。
「それじゃ、彼女を呼んでダブルデート、というのはどうかな？いいんじゃ？」

うわっ！？
いや、それは、超超マズい…。