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きっかけは?
第2章 年下の男の子🎵
寝室に入ると、ヒサオが私の動向をじっと見ている。
私がどのアロマを焚くか見ているのだ。
イランイランだけになる前に買い足したのを『ズルい』と言っていたヒサオ。
土曜以外にイランイランを焚くことがないから、イランイランばかり残ってしまう。
今日は残業もなかったし、ヒサオの慰労会への感謝の気持ちも込めてイランイランを焚いた。
ヒサオは出窓でアロマを焚くのをいつも後ろから覗き込んでくる。
どれを焚いても結局変わらないような気もするけど、火を点け終わるのも待ちきれないといった感じで抱き締めてくる。
イランイランじゃない時は、『いい?』とか『疲れてない?』と確認されるけど、イランイランの時は、ゴクッと唾を飲み込む音が聞こえる。
「麻里絵、本当にフェアおめでとう、お疲れ様。」
「ううん、ヒサオこそ、本当に色々助けてくれて、ありがとう。」
後ろから抱き締めてくるヒサオに身を捩ってお礼を言うと、そのまま、頬に手を添えられてヒサオの顔が近づいてくるので瞼を閉じた。
フェア最終日の昨日は、閉店後の片付け後にそのまま部で打ち上げがあった麻里絵。
だから、今日は一二三で二人だけのお疲れさん会をしようと思っていた。
投票の集計、発表、テナントの準備と、まだまだやることは沢山あるけど一区切りだ。
そして、結婚に向けてプライベートの準備もある。一二三の名前の由来を麻里絵が聞き、自分たちも二人で一緒に歩み続けたいと再認識した。
とりあえずは完全に引っ越して、その前に麻里絵の家に挨拶に行ってと、思っていたことを話したら、麻里絵はあっさり了承してくれた。
互いに一緒に居たいと思っている。それほど嬉しいことはない。
麻里絵はヨーロッパ出張で1人になったことがよほど寂しかったらしく、自分の家に帰りたいと言い出すことはなかった。
寝室に行くと、珍しく平日なのにイランイランを焚いていた。
可愛いよ、麻里絵。
自分で選んだのに真っ赤な顔をしている。
でもそれを口に出すと、手厳しい麻里絵が出てくるから、あえてフェアの労いの言葉をかけた。
俺の助けだとか振り向いてお礼を言う麻里絵が可愛くて、そのまま抱き締めてキスをした。