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背徳の嗜好
第15章 妻のカミングアウト

禁断の扉が閉ざされ、外の空気に触れると…
少しづつ冷静さを取り戻し、現実の世界が見えてくる…
「…」
漸く夫婦水入らずになれたというのに…私達は暫く、言葉を交わすことができなかった…
それぞれが他の男と女のセックスに、初めての悦びを憶え、
何度もイカされてしまった有様を想うと…顔を合わせることもできやしない…
長い沈黙が続く…
声を掛けようにも、まず何を話していいか解らなかった…
お互い思い詰めた様に、無言のままエレベーターに乗り込むと…
狭い二人だけの密室空間になった途端…周りが何も見えなくなる…
考えるよりも、身体が勝手に動いていた…
「…あ、歩子ッ!」
感情を抑え切れず、私は弾けた様に壁ドンし、歩子を思い切り抱きしめている…
「…あ、貴方ッ!」
静寂から一変、歩子も私に強引に迫られるのを待っていたかの様に、
思い切りキツく抱き締め返していた…
「…ゴ、ゴメン…わ、私…」
私を見詰める歩子の目が涙で滲む…
「…イ、イイんだ…何も言わなくてイイ…」
その鳶色の瞳だけで理解できた…
言葉など必要ない…
だって…私達は、同じ時を共に歩んだ夫婦なのだから…
歩子の唇を塞ぎ、私は両手に忘れかけていた温もりを甦らせていた…
お互い積極的に舌を絡ませ、再会のディープキスを交わす…
妻とこんな貪る様なキスをしたのはいつぶりだろうか?
理性を失い、衝動を抑えられやしない…
「…あ、歩子!お前は…俺だけのモノなんだッ!」
服の上から手に馴染んだ胸の膨らみを揉みしだき、
スカートを捲り上げ、股間をまさぐろうとする…
「アアッ…貴方…も、もっと…」
艶かしい吐息を漏らし、歩子も私の愛撫を求めていた…
しかし…その哀願も虚しく…私達の熱い抱擁は、ほんの十数秒の僅かな一時だっただろう…
ーチンッ!ー
エレベーターが早くも地上に着き、扉がゆっくり開かれると…
「なっ!」
見知らぬ他人が私達に冷めた視線を向けている…
慌てて距離が取らされ、乱れた服を直し、
私達はその場から逃げる様にエレベーターを降りていた…
広いエントランスホールの照明が煌々と照らされ、
外には多くの人が行き来し、周囲の目が痛い程に感じられる…
「…」
中途半端な状態のまま引き剥がされ、私達は互いにイキ場のない想いを募らせていた…

