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ソレは、二十歳になってか……ら……?
第1章 前編
「苦ぇだけじゃなく、ビールは度数もそこそこ有るぞ。初めて飲むにゃあ向かねぇんじゃねぇか」
俺が甘美で濃密なるりとのあれこれを反芻しかけてる間にも、「初めては何を飲むか」の論争が続いていた。
「ビールは、多分大丈夫!テスト合格してるから!」
「へっ?テスト?」
「……大学の入学時健康診断に、アルコール耐性を確かめるテストが有ったんだよ」
「へっ?」
んなもん、有んの?さすが共学……!
入学したとき、未成年だよね?未成年だから、学校公認でまず飲むの?
「新入生に、飲ますの?!」
「違ぇよ。パッチテストって奴だ」
「そう!そうなの!この辺になんか貼って調べるの!!それでー、ひめはぁ、超合格だったの!!」
「ちょーごーかく……」
姫ちゃん、受けた大学みんな合格したんだもんね。
その上そんなことまで合格なのかよ、と思うとおかしい。
「光さんも、いつもはビール飲んでるの?」
「うーうん。」
姫ちゃんに聞かれて、首を振った。
「俺、飲んじゃダメなんだ。じーちゃんの遺言」
「ふぇ?!」
唐揚げのかけらをつまみ食いしながら答えると、姫ちゃんの目が丸くなった。
「おじいさま、亡くなったのっ!?いつっ?!」
「や、まだ生きてるよー、ちょっと足腰弱って来たけど……じーちゃん、俺がガキの頃から、飲むたびに『俺の遺言だ、お前は絶対一生酒飲むな』って言ってんの」
「へ?それ遺言?遺言なの?遺言……遺言って……」
眉が寄ってきた姫ちゃんの頭に、朔がよしよしと手を乗せた。