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ソレは、二十歳になってか……ら……?
第2章 中編

「では、みなさま!私とるりのお酒解禁に、乾杯ー!」

「乾杯!」

 姫ちゃんはサングリアを一気に飲み干した。つっても具がたくさん入ってるから、グラスの中は半分くれー残ってる。

「……おいしいっ!るり、これおいしいっ!」

「ほんとに?ありがと!」

「これ、おかわりしていい?」

「もちろん!」

 スプーンで美味そうに果物を食べた姫ちゃんは、半分くらい残してサングリアの元と炭酸を注ぎ足した。

「お前ほんとに平気みてぇだな、アルコール」

「もー!この位じゃ、全然だよう!」

 朔は置いてあったスプーンを取って、サングリアの元を掬って口に運んだ。

「ふーん……丸々ワインじゃねぇんだな」

「ブラッドオレンジジュースを入れたんです」

「ああ。だから赤ぇのか」

「朔も、飲んでみる?すっごくおいしーの!」

 姫ちゃんが忙しくスプーンで果物を掬ったり飲んだりしながら、にこにこ言う。

「じゃ、交換な」

「ん!」

 朔にグラスを差し出され、自分のを渡した姫ちゃんは、反射的にビールをごくっと飲んだ。

「う!にが……」

「ほらみろ」

「でも、飲めた!」

 素早くグラスを取り替えた朔を見上げて、姫ちゃんが嬉しそうに笑う。

「ビール、思ったよりも飲めたよ!」

「そうだな」

 嫁の頭を、よしよしと撫でる朔……人んちでも変わらねー、安定のいちゃいちゃだ。

「今度からビール飲むとき、一口ちょーだいって出来る!」

「一口な」

 尻尾をバタバタ振ってそーな姫ちゃんのわくわくした声に、平然と答える朔……
 ……と見せかけて、あんた、顔が、でっれでれですよ?かわいいかわいいオーラがだだ漏れですけど……
 ここ、俺んちだから。それ、忘れねーで。

「今日の一口は終わったから、今はそのサングリア貰っとけ」

 はっとした朔が、まともそうな事を言った。
 あくまで「そうな」だ。まともな事かは分からねー。

「美味しかった?おいしかったよね?!おいしーでしょっ、るりのサングリア!」

 姫ちゃんのべた褒めに、るりが赤い顔で、ありがと、と呟く。
 褒められたからあけーのか、いちゃいちゃ見たからあけーのか、それとも、酔ったからあけーの?るり……。

「ああ。今まで飲んだサングリアの中で、一番旨いな」

「え゛っ!?」

 赤くなったるりを堪能してたら、不意打ちが来た。
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