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独り暮らし女性連続失踪事件
第2章 罠
「大学生向けはいろいろあるんだけれど、高校生ができるバイトってあまり無くてね」
「そうか。まあ、探してみるよ。これ借りていくよ。ありがとう」
誠は陸上部を辞めただけで特にアルバイトをしようと思っていた訳でもなかった。だが、借りた情報誌を見ると、家からそれ程遠くないところにあるドラッグストアが目に止まった。
アルバイト募集
時間:午後一時~午後八時までの間で三時間程度
高校生も可
時給は高くないが、お小遣いが足りない訳でもなかったので、それはあまり気にならなかった。さっそくそのドラッグストアに出かけて行いくと、「じゃあ頼むよ」とあっさり採用してくれた。
今日から春休み、桜も満開。午後6時を過ぎていたが、アルバイトが決まり、誠は気分よく歩いていると、「助けて!変な男たちに追いかけられているの」とコンビニ脇の側道から小走りに駆け寄ってくる人がいた。
飯田絵美先生だ。
「先生、どうしたの!」と声を掛けると、「誠君!」と胸に飛び込んできた。そして、「う、後ろ…」と腕にしがみつきながらブルブル震えている。絵美が指さす方を見ると暗がりから、見るからに悪そうな男二人が近づいてきた。
やだな、あんなのが来たら…誠はビビッたが、「怖い、怖いの。追いかけられて、服を掴まれたのを振りほどいてきたの」と絵美は震えている。見れば、コートのボタンちぎれている。何とか絵美を隠そうと彼らに背を向けたが、悪党が見過ごす訳がない。
「おい、分ってんだよ。どきな。その人に用事があるんだ」と体の大きい方が誠の肩を掴んでグイッと引いた。そして、絵美の顔を覗き込みながら、「逃げようたって、無駄だぜ」と迫ってきた。