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独り暮らし女性連続失踪事件
第2章 罠
「もう話し合うことなんかないでしょう!」
絵美は震えながらも、男たちに言い返した。しかし、彼らはニヤニヤ笑って、「往生際が悪いな」と絵美の手を掴んできた。
絵美も必死。「い、いや!やめて!」と男の手を振りほどき、誠の後ろに隠れたが、男は執拗に追い回してくる。
誠はビビッてはいたが、「僕の先生を、ど、どうするんですか!」と勇気を振り絞ってと彼らの前に立ちはだかったが、「へへへ、“僕の先生”だって」と大柄の男が誠の頭を小突き、「坊主の先生?そうか、坊主に先生かよ。こりゃいいや」と小柄の男が笑い出した。
「いいか、坊主、いいことを教えてやろうじゃないか。その人は学校じゃあ〝いい先生〟かも知れないが、こっちにとっては困った人なんだよ」
「うそよ、誠君、この人たちの言うことなんか信じちゃダメよ」
誠を挟んで絵美と男たちが言い争う。
「坊主、悪いことは言わねえから、どきなよ。いつまでもかばってると、つまらねえことになるぞ」
「やめて下さい。先生は僕の大切な人なんです」
「今度は“僕の大切な人”ときたよ。笑わせるな。いいから、どきなよ」
「いやです」
体を張って抵抗する誠に「分らねえ野郎だな」と大柄な男が胸倉を掴んできたが、「おい、止めとけ。人が見ているぞ」と小柄の男が止めに入った。
コンビニの前は人通りが多い。行き交う人たちは足を止めて、恐々とこちらを見ている。
「坊主、今度会ったらただじゃあ、すまねえからな」
大柄の男は誠の胸倉を掴んでいた手を離すと、立ち止まっていた人たちに、「何でもねえよ」と言いながら、小柄の男と共に暗がりに消えて行った。