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独り暮らし女性連続失踪事件
第2章 罠
車は走り出したが、黒い袋を被され、踏みつけられたままの誠は体の自由が利かない。どこに連れていかれるのか、何をされるのか不安なまま、三十分も経った頃だろう、車が停まり、「おい、降りろ」と誠は車から引きずり出された。
鉄工所のような、ガーン、ガーンと金属がぶつかる音がするが、黒い袋を被されているから、どこだか分らない。
「こっちだ」と二人の男に両脇を抱えられながら、階段を昇らされ、「よし、いいだろう」と黒い袋を取られと、そこは奇妙な部屋だった。コンクリートの打ちっ放しの床、中央には相撲の鉄砲柱のようなものが立っていて、天井からは何本かのロープが吊るされていた。
「ここは裏切った奴とか、そういう奴を懲らしめるところ処刑部屋だ」
吉野のドスの効いた声が響く。誠は怖くて怖くて、体の震えが止まらなくなっていたが、彼は容赦しない。
「支度させろ。傷がつくと証拠にされるから、注意しろよ」 と命じると、絵美を襲った二人と、見るからに悪党と思われる男たちが誠の手足を掴み、セーターやスボンを剥ぎ取り、ハサミを持った白衣の女が下着を切り裂く。抵抗する間もなく全裸にされてしまった。
「や、止めて下さい!何するんですか、止めて下さい!」
誠は叫びながら、必死にもがいたが、男たちは両手首にタオルを巻き付けると、後ろ手にして鉄砲柱に結束バンドで縛り付け、誠の体に自由はなくなってしまった。
「ほらほら、みんなで脅かすから、オチンチンが縮こまっちゃったじゃない」
白衣の女は誠のペニスを指で摘まんで嘲るが、それは仕方がない。
誠はすっかり怯えきり、それは陰毛に隠れて姿が見えなくなっている。
「聡子さん、なんとかしてやれよ」
白衣の女性は伊藤(いとう)聡子(さとこ)。中肉中背で髪に白いものが交じり、誠には随分と年を取っているように思えたが、まだ五十歳にはなっていなかった。