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独り暮らし女性連続失踪事件
第2章 罠
「これはこれは。飯田先生。お待ちしておりました」
吉野が両手を広げて絵美を迎え入れようとしたが、絵美はその手を払いのけると、「この子は関係無いのよ。巻き込まないでよ!」と詰め寄った。
だが、相手は悪党。
「人聞きの悪いこと言うなよ。彼に乱暴なんかしていないぜ」と、タバコに火をつけると、絵美の顔にふぅーと煙を吹きかけてきた。
正直、絵美は怖かった。しかし、自分のトラブルに教え子を巻き込むわけにはいかない。
「だったら、誠君を裸にして縛ったりしないでしょう!直ぐに彼を離しなさい」と一歩前に出たが、「それは誤解だよ。だって、あんた、あの件で、彼にお礼していないだろう?〝僕の大切な人〟って、あんたのことを守ってくれたのに、ダメじゃないか」と嘲り、誠のスマホを手にすると、「彼はあんたが大好きだよな。こんなに写真を撮っている。ほら、見ろよ」と絵美にスマホを突きつけた。
「あっ、それは…」
絵美は誠が自分を写していることは知っていたが、洗濯した下着までも撮られているとは…ショックで言葉に詰まってしまった。
誠も絵美には知られたいことだった。彼は顔を上げられない。
「スマホを返しなさい。あなたのじゃないでしょう!」
「ははは、取り上げたわけじゃないよ、ちょっと借りただけだよ」
「だったら、直ぐに返しなさい」
絵美は吉野の手からスマホを取り返したが、吉野は「そう怒るな」と言うと、今度は柱に縛り付けられている全裸の誠の傍らに行き、「先生、大沢がなんであんたのパンツの写真を撮ったか、分るか?軽蔑するだけじゃダメだな」とタバコを吹かしながらニヤついていた。