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独り暮らし女性連続失踪事件
第3章 捜索
「経済部の中西が派遣会社営業から聞いた派遣社員の失踪話をメモにしたものだ」
「大変らしいですね。『事前に聞いた話と違う』とか、叱られると直ぐに辞めちゃうとか、私も聞いたことが有ります」
「いや、これはそんなものじゃない。一人暮らしの真面目な女性が株取引で、どうも騙されて借金漬けにされて、『ソープに売っちまうぞ』って脅されていたのをアパートの隣の者が聞いているんだが、それっきり姿を見せないって話だ」
佐々木はコーヒーを飲みながらそのメモを読み始めた。
「警察は捜査しているんでしょう?」
「そこが、仕掛けた奴らの狙い目だと思う。一人暮らしで、派遣社員だろう。人と付き合いがないから、誰も困らず、捜索願なんか出ないんだよ」
「そうか、そんな話が有るんですね」
「まあ、事実確認はしていないから、信憑性は分からんが、その女のアパートは中池市、さっきの記事の県立高校の先生が住んでいた町とは近い」
「気になりますね。編集長、分かりました。まずは最初の記事から調べましょう。さっそく、地元警察にあたってきます」
「ちょっと待て。ペットの犬の件でトラブルがあったということだから、交配に関するトラブル事案や、俺が感じたことをメモにしておいたから、参考に持っていけ」
「あっ、はい。ありがとうございます。大手は手を引いたか…ウチしか書けない、よし、特ダネを掴んでやるぞ。行って来ます!」
佐々木が飛び出して行った後、田村はもう一度「県立高校教師、先月から行方不明か?」と書かれた記事を手に取った。
二人組に追い回されていたのか…これは俺があたろう。しかし、どうも嫌な予感がする…