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独り暮らし女性連続失踪事件
第3章 捜索
「どうした、彼女に振られたか?」
「馬鹿なこと言わないで下さい。俺にそんなのいる訳ないじゃないですか」
「あれ、洋子ちゃんと付き合っているって、職員室じゃ有名だけどな。間違いかな。ははは」
根本先生は全てお見通しだ。
「参ったな。いや、今日は俺のことじゃないんです。大沢のことなんです」
「大沢がどうした?」
「ええ、実は新学期が始まってからまったく元気が無いんです。聞いても『何でもない』としか言わない」
「そうか…授業中もぼやっとしている時があって、夜更かししているのかなと思っていたんだが、そういうことでもないのか…」
「はい、もっと深い理由があるようです。あいつ、ドラッグストアでアルバイトをしているんですが、そこであいつの様子を聞いてら、とんでもないことが分ったんです」
賢一は飯田先生のことも含め、先日聞いたことを全て話した。
「そうか、そういうことがあったのか…」
先生は黙って腕組みをしたまま、しばらく窓の外を見つめていた。そして、「おい、佐藤。明日、大沢を連れてこい」と言った。
「どうするんですか?」
相手がやくざみたいなだけに、賢一は心配だったが、「まあ、俺に任せろ。大沢を守ってやるから」と先生はきっぱり言ってくれた。そして、「お前はこれで元気を出せ」と残った菓子パンを持たされ、帰された。
しかし、根本先生も迷っていた。
法律に触れることをしていると決まったものではないのに、
大沢を悪人扱いしてはいけない。
しかし、補導されてしまったら、どんな事情があるにせよ、
彼が傷つく。その前になんとかしなくては。
横田先輩に相談するしかないかな…
残ったお茶を飲み干しながら、携帯電話を取り出した。