この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
独り暮らし女性連続失踪事件
第3章 捜索
「横ちゃん、今はここで編集長なんて呼ばれているよ」
「そうか、村ちゃんが週刊誌の編集長か、現場好きの村ちゃんが編集長ね」
「まあ、横ちゃんだから言うけれど、俺も似合わないと思っているよ」
二人はプライベートで互いに名字から〝田〟を抜いて、「村ちゃん」、「横ちゃん」と呼び合っている。
そして、この呼び方をした時、それは〝取材は終わり〟を意味し、それ以降はオフレコで、互いの手の内を明かしたりすることになっていた。
「で、村ちゃん、今度はどんな匂いを嗅ぎあてて来たの?」
「いえねえ、山川高校の先生が行方不明だって聞いたから、何か事件かな?って、そんなとこですよ」
「それだけで編集長がお出まし?村ちゃん、隠し事はダメだよ」
「かなわないな、横ちゃんには。まあ、いいか。あのさ、隣の中池市でも一人暮らしの女性が失踪だって聞いてるし、おかしなことが起きているのに、あっちも、ここも捜索願が無いって、本当かな?それに、誰も捜査していないって、おかしくないか?」
「失踪って言ったって、『海外旅行に行ってきました』なんて、ひょっこり現れることがあるんだよ。だから、捜索願が無いと捜査しても無意味なことがあってね」
どこでもそうだろうが、ベテラン警察官とベテラン記者とは狸と狐の化かしあいだ。田村は攻め手を変えた。
「いや、一人暮らしの女性を狙うストーカーとか、変な奴が多いから心配でね。うちの娘はようやく嫁に行ったから少しは心配が減ったけど、親御さんは大変だろうね」
当然、横田副署長はかわしにくる。