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独り暮らし女性連続失踪事件
第4章 救出への動き

「お前が言ってたように二人組に追い回されていたことは確かで、事件であることは明白だ。それに飯田先生が追い回されていた時に一緒にいた高校生、教え子らしいよ」
「そうですか。それなのに『捜索願が出ていない』と、単なる家出のように扱っているように惚けているなんて、ますます怪しいですね」
「まあ、横ちゃんらしいよ。それでな、周辺に探りを入れてみたんだよ。そうしたら、飯田絵美がトラブルに巻き込まれたのは吉田ケンネルのようだ。獣医はオーナーと加藤の二人で、飯田絵美のペットの担当は加藤だ」

田村は佐々木に一冊のバインダーを手渡した。

「取材を申し込んだが断られたので、ケンネルから帰るところを捕まえて何点か質問したが、のらりくらりと惚けやがる。そこで遊軍の友部に張り付かせたら、週末は犬のトレーニングセンターに通っている。佐々木、驚くなよ。お前が取材に出掛けたところの近くだ」
「臭いですね」

田村が頷く。

「これまでに揃えた材料から、俺はこの事件をこんなことかなと考えているんだ。女は犬の相手をさせられている、これは間違いないと思う。だが、それはショーかも知れないし、お前が噂話として聞いた人工授精のためかも知れない。合成麻薬で亡くなった女は、そこから逃げ出そうとして薬物中毒者にされて殺された」
「私もそう思います」
「だが、飯田絵美にしても、派遣社員にしても、どこに消えたか分らない。繋がりがあるか不明だ」
「しかし、山川署も中池署も繋がりがあると睨んでいる、ですね」
「そうだ。その通りだ。こんなことをやらかすのは、そう多くはない。予見はいかんが、気になる奴を書き出してあるから後で読んどけ」
「助かります。よし、必ず二つの事件の結び付きを掴んでやるぞ」
「しかし、佐々木、気を付けろよ。むやみに踏み込むとやばいぞ。悪い奴らがつるんでいるからな」
「大丈夫ですよ。ここ間も一発殴られていますから、その点はよく分かっています」

佐々木が悪戯っぽく笑って見せたが、田村は厳しい顔を崩さない。
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