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独り暮らし女性連続失踪事件
第4章 救出への動き
≪職務質問≫

「おい、何で電話に出なかったんだ?」

哲也は誠の顔を見るなり、脛を蹴飛ばしてきた。

「痛っ…あ、あの、先生のところに行ってたんで…」
「何!てめえ、何か喋ったんじゃねえよな?」
「ち、違いますよ!部活を辞めたんで、何をしているか聞かれただけです」
「うそをついてねえよな?」
「つ、ついてません」
「裏切ると背中に刺青入れちまうからな。分かったか?」
「ぼ、僕は絶対に喋りません。絶対に…」

余りの怖さに、誠は泣き出しそうになったが、そうすると「おいおい、泣くなよ。まるで俺がいじめているみたいじゃないか」と今度は猫なで声で誠の頬を軽く叩く。

その時、「安田、何をやっているんだ。恐喝か?」と、パトロール中の警察官が近寄ってきた。

哲也は爪先で誠の靴を軽く蹴飛ばし、“分かっているな”と合図を送ると、「参ったな。俺がいつも悪いことばかりしているみたいじゃないですか」と惚けたが、そんな戯れ言は警察官には通じない。彼は「お前の顔を見たら。誰でもそう思う」と言って、警察手帳に「午後9時、安田哲也。繁華街5番交叉点」と書き込み、「ぞれで、君は誰なんだ?」と傍らの誠の顔を覗き込んだ。

「あ、いえ、ぼ、僕は」
誠が口ごもると、「ははは、片山さん、もういいでしょう」と哲也が割り込んできたが、「うるさい。お前は黙っていろ!」と一喝し、「高校生だろう?こんな時間に、こいつと一緒にうろつくのは感心しないな」と迫ってきた。
職務質問の対象が誠に移った。

「ぼ、僕は」
誠は哲也をチラチラと見ると、彼はそっぽを向いてタバコを吹かしていた。

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