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独り暮らし女性連続失踪事件
第5章 潜入取材

「いや、犬の飼育に興味があって、勝手に名乗っただけですよ」と佐々木は惚けるが、すかさず、ビシン!と小柄な男が右のふくらはぎに蹴りを入れてきた。

「うっ…」
佐々木はふくらはぎを押さえて蹲るが、「ボスが聞いているんだ。ちゃんと答えろよ」と頭を掴まれ、引き起される。

「い、いや、怪しいものじゃないですよ。犬のことを調べているだけですよ」
再び惚けると、ビシン!と今度は左のふくらはぎに蹴りを入れられた。
「うっ…」

その場に倒れ込んだ佐々木は苦痛に顔が歪んだが、「分らねえ奴だな」と苛立つ小柄の男がナイフを取り出すのが見えた。
これ以上、駆け引きできない。佐々木は痛む足を踏ん張り、どうにか立ち上がると、「すみません、週刊スクープの佐々木です」と身分を明かした、その瞬間、吉野の顔が変わった。

「週刊スクープ?本当か?」
「はい」

周囲の男たちも「記者だってよ」とざわついた。

「ズボンのポケットに名刺が入ってますから」
「ちょっと待て…おおこれか」

小柄な男が佐々木のズボンから名刺を取り出し、それを吉野に渡した。

「佐々木(ささき)勉(つとむ)さんか…ところで、何を調べているんだ?」
「はあ、獣姦です」
「じゅうかん?」

音だけでは分らないのか、「何のことだ?」と小柄な男がナイフを頬にあててきた。

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