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独り暮らし女性連続失踪事件
第5章 潜入取材
「や、やめて下さい。犬と女のセックスですよ。この間、露天風呂に入りに来た時、ここら辺で獣姦ショーをしているって、風呂の中で話しているのを耳にしたので、何処だろうって調べに来たんです」
すると、吉野の目が光ったように感じた。
「何か分ったかな?」
彼はじっと視線を外さず佐々木の顔を睨んでいる。
「いえ、何も」
「じゃあ、帰った方がいいよ」
「いえ、まだ調べていないところが…あ、うっ…」
またも右ふくらはぎに蹴りが入った。
「しつこい男だな。脚が脹れて歩けなくなるぜ」と苛立つ小柄の男がもう一発蹴りを入れようとしたが、「まあ、待て」と吉野が手で制し、小柄な男からナイフを取り上げた。そして、「君は粘るね。これも田村の教えかな?」と頬にナイフでスーと傷をつけた。血が滲み出る。佐々木は怖いと思った。そこにギーと引き戸が開き、聡子が入ってきた。
「彼?」
「そうだ。田村の部下らしい」
「へえ、そうなの、田村さんの」
この女も編集長を知っているのか?佐々木が聡子をチラチラ見ていると、
「〝ハイエナの田村〟って言われてたかな。君もそうなりたいのかな?」と吉野が不気味な笑いを浮かべた。
「ねえ、体験してもらったら?」
聡子も意味あり気に笑っている。
「面白いことを言うね」
「〝体験レポート〟もいいでしょう」
「そうだな。帰れと言っても帰らないんだから、体験させてやるか、なあ、お前たち」
吉野一言に小屋の空気は一変、苛立っていた小柄な男も含め周りの者たちの男たちの顔から暴力的なものが消え、憐れむようなあやしいものに変わった。
佐々木は薄気味悪さに一、二歩後退りしたが、
「記者さん、どうしたんだ、帰るのか?」
「今更、遠慮は無しだぜ」
「そうだ、遠慮するな」
と背中をドーンと突かれ、押し返されてしまった。