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独り暮らし女性連続失踪事件
第2章 罠
≪吉田ケンネル≫

その日の午後、絵美は愛犬サニーを連れて吉田ケンネルを訪ねていた。

「先生、こんにちは。お忙しいところすみません」
「やあ、飯田さん、こんにちは。おや、サニーはご機嫌斜めかな?」

サニーは獣医が苦手。加藤が頭を撫でようと手を出すと、絵美の足元に隠れてしまった。

「こら!先生にご挨拶は?」
「ははは、いいから、いいから。それで、今日はどうしましたか?」
「実は、サニーのことで相談があるんです。元気すぎるので、万が一のことがあるので、避妊手術を受けさせたいんです」
「そうですか。じゃあ、ちょっとサニーを見せて下さい。」

加藤は秘かに机から発情した雌犬の陰部の匂いを湿め込ませた脱脂綿を取り出すと、何食わぬ顔で、それをサニーの口元に当てた。
すると、サニーが急にキャン!キャン!と吠え始め、「おやおや、どうしたのかな?」と加藤は惚けたが、何が起こったのか分らない絵美は「サニー、どうしたの?落ち着きなさい!」とリードを強く引き寄せた。

だが、興奮したサニーには効き目がない。絵美の持つリードを引きちぎるように吠え続けながら何かを求めていうように部屋の中を駆けずり回り始めた。

「サニー、ねえ、サニー、どうしたのよ?」

絵美が抱きかかえようとしてリードを緩めると、隣の部屋に向かって駆け出していった。

すると、「あっ、何だよ、この犬!おい、離れろよ!」と男の怒鳴り声が聞こえ、慌てて絵美が隣の部屋に入っていくと、サニーはそこにいた犬を追い回しているところだった。

キャン!キャン!

「サニー、ダメよ、離れなさい!」

絵美はリードを掴んで必死に連れ戻そうとするが、狂ったように動き回るサニーを押さえることが出来ない。
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