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独り暮らし女性連続失踪事件
第6章 奪還
≪病院≫

「根本、大変だ。大沢君が車に撥ねられた。直ぐに市民病院に来い」
時刻は午後十一時を過ぎていたが、横田副署長からの電話に根本先生は眠気もすっ飛んだ。

「ご両親が付き添っている。お前と校長にも来て欲しいんだ。これは彼からの要望だ」

副署長は詳しい状況は病院で話すとだけ言うと、電話は切れてしまった。

   何があったんだ?
   無理に引き止めてでも、事情を聞き出していれば良かったのに…
   取り返しがつかないことになっていなければいいが…

根本先生は病院に向かうタクシーの中で、何度も自問自答を繰り返していた。精神的にとても車を運転できる状況ではなかった。

「根本君、こっちだ」

校長先生は既に来ていた。

「交差点にいきなり飛び出したらしい。軽自動車がスピードを緩めていたからよかった。それでも七~八メートルは飛ばされ、道路に打ちつけられて動かなかったが、交番の前だったので、直ぐに救急車を手配して、ここに運んだということだ」
副署長が簡単に事故の様子を説明する。
「右腕の骨折と顔の裂傷、頭や内臓に損傷がないかは、今、検査しているところだ」

深夜の病院は静かで、副署長の声だけが病室に響く。
そこへ検査を終えた誠がベッド載せられたまま、両親に付き添われ戻ってきた。

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