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独り暮らし女性連続失踪事件
第6章 奪還
間もなく、きれいな音声が聞こえてきた。
<おお、久しぶりですな。田村さん>
<こちらこそ、吉野さん。すっかり貫禄が出てきましたな>
<お前さんこそ、立派になったね。編集長か、偉いもんだ>
<あなたのお蔭ですよ、吉野さん>
<嫌味か。ところで、今日はどうしたんだ。
どうしても俺に会いたいって町中で触れ回ってたそうじゃないか>
<すみませんね、こんな遅い時間に>
<まあ、俺は夜型人間だから、いいよ。どんな用事だ、言ってみな>
<ウチの若い記者が吉野さんに捕まって、帰してくれないって連絡があったんで、
迎えに来たんですよ。
それから、女性を助けて欲しいって言伝をもらったんでね。
吉野さんはそんなことをする人じゃないと思ったんだけど、獣医の加藤さんも
「吉野さんは本当の悪党だ。」って言うんで確かめに来たんですよ>
<久しぶりに会ったのに、こりゃあ、ご挨拶だな、田村さん>
「おい、これはどうやっているんだ?」
「隠しマイクで音を飛ばし、それを車に積んだパソコンで受け、そこを基地局にしてインターネットに流しているんでしょう。盗聴犯と同じ手口ですよ」
署長の疑問に若手刑事が答えた。