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独り暮らし女性連続失踪事件
第6章 奪還
「現地に行っている橋本、それに向こうの警察に知らせろ」
「知らせてますよ」
横田副署長に大下刑事が答える。既に署内は解決に向け、一丸となっている。
音声はところどころ途切れることはあるが、やり取りははっきりと聞き取れる。
<お前、誰だか知らねえが、ボスに失礼だぞ>
<ドスン!>
<おい、手を出すな。こいつはそんなことじゃ、へこたれないぞ>
<痛てな…吉野さん、慰謝料請求するぜ>
<まあ、若いのは抑えるのが難しいからな、これでどうだ>
<一束か、少ないな、吉野さん。しかし、もらっとくか>
<相変わらず、喰えねえ奴だぜ>
<ところで、どこだね、ウチの記者や女性は?>
<そんなものは預かっていないよ、田村さん>
<あんたも落ちぶれたな。偉そうにしているだけで、中身はケチな男になっちまったね>
<ドスン!>
<てめえ、ボスになんてことを言いやがる、許さねえぞ>
<田村、さっきも言ったけど、若いのは抑えきれねえんだ>
「まずいぞ、早く踏み込まなくちゃ」
「まあ、待て。ハイエナの田村だ。何か仕組んであるはずだ。向こうの警察にも伝えろ」
署長は腕組みをしたまま、パソコンから聞こえてくる音に聞き入り、待機を命じた。