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午睡の館 ~禁断の箱庭~
第1章 前編
六月。
渡邉が家庭訪問をして以降、雅弥は毎日の様にお仕置きと称して櫻子を抱いた。
「先生の事なんて、好きじゃありません」
少しでもそう口答えをしようものなら、櫻子が意識を飛ばすまで抱き続けられる。
櫻子は兄と渡邉を合わせてしまった事を、今更ながら後悔した。
そしてそんな日々が一週間続いたある日、櫻子は全校集会中に倒れてしまった。
初めて兄に抱かれたのは、中等部二年の頃だった。
唯一の親だった父親が病で亡くなり、それまでも厳しかった祖父の教育はさらにひどくなった。
大学を卒業したばかりの雅弥は、寝食を忘れ後継者となるべく祖父に付き従っていた。
その頃の櫻子には、胸に秘めた小さな恋を抱えていた。
いつも素敵で完璧。
優しくてどんな我が儘も、目を細めて受け入れてくれる。
そう。
九つも年上の実の兄――雅弥に憧れていたのだ。
しかし、雅弥は完璧などではなかった。
耐えきれられないぎりぎりを要求する祖父からのプレッシャーと、人格さえも否定される屈辱に押し潰されそうになり、女をとっかえひっかえ抱いては捨てていた。
ある夜眠れなかった櫻子は、雅弥の部屋に忍び込んだ。
そこでは見ず知らずの女性が、兄に組み敷かれて甘い声を上げてよがっていた。
白い尻に打ち付けられる、兄の下半身。
自分と瓜二つの兄が、苦しそうに呻く顔。
それを見てしまった櫻子は、その場で泣き出してしまい、雅弥に見つかってしまった。
女はすぐに帰され、兄はもう二度と女をこの館に連れ込まないと櫻子に約束した。
そしてその数日後――。
夜中、完全に熟睡していた櫻子は息苦しさに目を覚ました。
霞む眼でその原因を探ろうとした櫻子の口内に、ぬるりと何かが侵入しているのに気づく。
「んん……っ!?」
櫻子は必死に両手で相手を押しやり抵抗したが、それは相手の逞しい胸を軽く押し返すだけで、意味をなさない。
息苦しくて必死に拳でどんどんと相手を殴ると、ようやく深い口付けから解放される。
目の前に覆いかぶさっている人物を見て、櫻子は愕然とする。
「お兄様……?」