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午睡の館 ~禁断の箱庭~
第1章 前編
サイドテーブルに置かれた微かな照明の光が、雅弥の美しく整った顔を照らし出す。
雅弥は濡れててらてらと光る唇を、手の甲でゆっくり拭う。
櫻子はその姿があまりに優雅で、魅せられた様に兄を見つめる。
「眠れないの……?」
そう優しく聞き返した櫻子に、雅弥はゆっくりと頷く。
「お前が悪いんだ……私の寝室を覗いたりするから……」
眉間に皺を寄せた雅弥が苦しそうにそう呟く。
「……ごめんなさい……」
初めて雅弥に厳しく非難された櫻子は、小さく震えてそう許しを請う。
しかし、雅弥はそんなことでは許さないと言う風に、首を横に振った。
「……悪い子のお前は、罰されなければならないね――」