この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
午睡の館 ~禁断の箱庭~
第1章 前編

不思議そうな顔をして見せた渡邉に、雅弥が気付く。

「ああ、すみません。いえ、高等部に入ってから櫻子が体育に参加するようになったり、体育委員になったのでどうしたのかと思っていましたが……きっと先生に憧れての事だったのでしょう」

櫻子と似た顔の笑顔でそんな事をさらと言ってのける雅弥に、渡邉は面食らう。

「え……いえ、そんな……」

そんな渡邉の様子を見て、雅弥が少し困惑した表情になる。

「しかしね、渡邉先生……」

言いにくそうにそう切り出した雅弥を、渡邉は無言で促す。

「知っていらっしゃいましたか? あの子が体育の授業に参加した日の夜、いつも高熱を出して倒れていたことを……」

「え………」

意外な事実を知らされ、渡邉は言葉に詰まる。

「言いにくいのですが……櫻子は体が弱いのです。ですので入学の時にお願いした通り、体育は休ませてほしいのです」

「……そうだったんですか。そうとは知らず、私は東儀が積極的になってきたのだと、喜んでいました。気付かずに……本当に申し訳ありません」

渡邉はそう、深々と頭を下げた。

「いえ、いいんです。分かっていただければ。……ところで、学園での櫻子はどうですか? 楽しくやっていますか?」

雅弥はまた表情を微笑みに変え、話題を移す。

「はい、そのことで実はお聞きしたいことがありまして……」

「なんでしょう?」

「実は、東儀は中等部二年の頃から、ずっと友人を作っていない様なんです。ご存知でしたか?」

「………」

渡邉の質問に、雅弥は無言で頷く。

「御父上がそのころにお亡くなりになっているのが、もしかしたら関係あるのかもしれませんが……」

「そうかもしれませんし、そうではないかもしれません。父が亡くなってからの櫻子は塞いでおりました。そして、もうご存知だと思いますが……私どもの祖父が厳しい人で、それで余計にそうなってしまったのかもしれません」

雅弥は長い足を組み替えてそう言った時、扉がノックされる。

「どうぞ」

雅弥の返事に扉が遠慮がちに開かれる。

そこにはティーセットを乗せた大きな盆を抱えた櫻子が立っていた。

「櫻子が入れてくれるのかい?」

すっと立ち上がった雅弥が、櫻子に近づいて手からその盆を預かり、渡邉のいるローテーブルへと降ろす。

/30ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ