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月曜日の秘めごと
第3章 パンケーキとレモネード
どもってるし、なんだ、コンビニの人ですがって。
「えっと……」
通話の向こうから返事がない。あれ、あのお姉さんの電話番号で合ってる?
「…………」
さらに無言は続き、もう一度声をかけようか切ろうか迷っていた時。
「……ふふ」
かすかに笑い声がした。
雨粒がぽつりと頬に落ちてきた時のように、僕ははっと顔を上げた。
「湊さん……ですか?」
「ええ」
ほっとした。安堵と共に心臓が早鐘を打ち始める。
「ねえ、パンケーキ好き?」
「え?」
「今から食べに行きましょう」
「ええっ」
直球なお誘いに度肝を抜かれた。
「何か用事があるの?」
「いえ」
「甘いもの嫌い?」
「好き、です」
「あたしと食事、いや?」
「そ、そんなことは……」
「じゃあ決まりね。今から三十分後にこの前のコンビニで待ち合わせ。いい?」
「……はい」
まんまと誘導されてしまった。
「車で迎えに行くわ」
「あ」
「じゃあ、また」
通話が切られる。僕の気が変わらないうちに、そんな感じの少し急いた切り方だった。
ドキマギと落ち着かない心臓の鼓動に背中を押されながら、僕は準備をして家を出た。