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月曜日の秘めごと
第3章 パンケーキとレモネード

 湊さんはミステリアスなお姉さん、て感じの第一印象だったけれど、こうして食事を一緒にしていると意外とよく話す。
 僕はまだ緊張が解けず、相づちを打ったり聞かれたことに答えたりするだけで、お姉さんのことを聞いたりする心のゆとりはなかった。ずっとドキドキしていて手汗もすごかった。
 だから、ふわとろのパンケーキの味も、あまり覚えていないほどだ。
「ーーそろそろ行きましょうか」
 食べ終えてどれくらい話していたのか。
 ふいにお姉さんが立ち上がった。
「は、はい」
 僕も慌てて鞄と上着を持ってあとを追う。伝票が彼女の手の中だったからだ。
 湊さんのお会計はスマートだった。僕が財布を開けた時には、札と小銭を出し終えていた。
 レシートも貰わず店の外へ。
「今日は傘のお礼だからいいのよ」
「傘って、あんなの余ってたビニール傘だし、返してもらったし……」
 せめて自分で食べたものだけでも、とお札を渡そうとしたが、彼女は受け取らず、財布もさっさとしまってしまった。
「だったら、また次のご飯の時に」
 次。次がある。そのセリフに自然と頬が熱くなっているのに気付いた。
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