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月曜日の秘めごと
第3章 パンケーキとレモネード

「……はい。その時は僕が奢ります」
「楽しみにしてる」
 車が発進する。家まで送ってくれると湊さんは言ったけれど、僕は断った。バイト先のコンビニに、来月のシフトを出しに寄ろうと思ったからだ。
「いつが空いてますか?」
「月曜日の午後、かな」
「あの、名字教えてもらえませんか? なんて呼んだらいいか」
「湊でいいよ」
「湊さん……?」
「さんもいらない」
「ええっ」
 僕はびっくりして目を見開いた。
「呼び捨てがいい」
 ずっと前方を見ていた彼女の目が、ちらっと僕に向く。流し目と、くすりと上がった口角。その表情にドキリとした。
「……いやです」
「蛍って呼んでいい?」
「ダメ」
「照れてるの?」
 矢継ぎ早に質問され、僕は彼女を睨んだ。もちろん怒っているわけじゃなく、照れ隠しのつもり。つまり図星だ。
 コンビニに到着した。店の真ん前も空いてるのに、彼女が停めたのは建物から一番遠い駐車場のマスだ。
 なぜだろうて疑問に思ったのは一瞬。
 ふわりと甘い香りが漂ってきて、視界を何かが覆った。そして柔らかい唇の感触。
「……ん!?」
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