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月曜日の秘めごと
第2章 雨と傘
それはわざわざ遠いコンビニを選んでくるのが悪いんじゃないか、と思ったが、口には出さないでおく。コンビニに来た理由も、寝れなくて暇だからだそうで、そこも本当は突っ込みたかった。僕だったら、暇でも絶対外には出ない。
「傘買ってく? ビニールあるよ?」
「えー……」
眉をハの字にして、不満そうにそう呟く雄志。
僕は思わず噴き出した。
「嘘だよ、ちょっと待ってて」
雄志を置いて裏に。ロッカールームの壁にかかった折り畳み傘を持ち、カウンターに戻った。
「はい、これ使っていーよ」
「え、おまえのは?」
「僕、普通の傘持ってる。店に置きっぱなしにしたままだったやつが、ちょうど残ってたんだ」
「サンキュー! いつか返す!」
いつかって。笑ってしまった。口ではいい加減なことを言いつつも彼が案外律儀なのを知っている。次に講義がかぶる時には返ってくるだろう。
差し入れ、と言ってミント味のガムをカウンターに置き、彼がコンビニを出ようと踵を返した時だった。
自動ドアが開き、雨の匂いがなま暖かい外気と共に入ってきた。客だ。自然と目をやり、驚いた。黒髪でやたら美人だったからだ。