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8月のヒメゴト ~僕と桃香の7日間~
第5章 5日目
彼女のうなじから肩、腕、指先まで。それから背中、お尻へとゆっくり塗り込んでいく。
「くすぐったいよぉ…」
ももちゃんは、もじもじした。
まだ肉付きの少ない、小さなお尻のわれめに指を差し入れてみた。
「ひゃあっ!そこは塗らなくていいよぉ!」
「念のためだよ」
僕は、素知らぬ顔でとぼけた。

ほっそりした太もも、ふくらはぎ、足首まで、ももちゃんの肌は、やっぱり全身くまなく、すべすべできめ細かだ。

「はい、前向いて」
そう言いながら僕は、思い出していた。
初めて会った日、ももちゃんがこんなふうに、僕の体を洗ってくれた。あの時の逆だ。
この数日の慌ただしさと、僕の心境の変化を思うと、あの日が遠い昔のように思える。ももちゃんと会う前の生活なんて、もう思い出せない。

「目を閉じて」
愛しく可愛らしい、ももちゃんの顔に、優しく丁寧に塗っていく。
本当に小さく、幼い顔立ちだ。
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