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8月のヒメゴト ~僕と桃香の7日間~
第5章 5日目
しかし、それは突然終わりを告げられた。父親の転勤で、早川家は県外に引っ越すことになったのだ。
桃香ちゃんは12歳になっていた。
僕にとっては、友達の一人がいなくなっただけだった。それなりに寂しかったが、それだけだ。
でも桃香ちゃんにとっては、身を引き裂かれる思いだった。
内気な少女の、誰にも言えない秘めた恋。彼女は、いつか僕と結ばれることを夢見て、それだけが生きる希望になっていた。
それが無惨に絶たれたのだ。
「わたし、耕平お兄ちゃんに会えないなら、もう生きていたくないって思った」
引っ越して間もなく、彼女の病状は急激に悪化した。
「あの時、すごく痛くて苦しくて…わたしずっと、耕平お兄ちゃんに会いたい、会いたいって、そればかり思ってたの 」
「……」
桃香ちゃんは12歳になっていた。
僕にとっては、友達の一人がいなくなっただけだった。それなりに寂しかったが、それだけだ。
でも桃香ちゃんにとっては、身を引き裂かれる思いだった。
内気な少女の、誰にも言えない秘めた恋。彼女は、いつか僕と結ばれることを夢見て、それだけが生きる希望になっていた。
それが無惨に絶たれたのだ。
「わたし、耕平お兄ちゃんに会えないなら、もう生きていたくないって思った」
引っ越して間もなく、彼女の病状は急激に悪化した。
「あの時、すごく痛くて苦しくて…わたしずっと、耕平お兄ちゃんに会いたい、会いたいって、そればかり思ってたの 」
「……」