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8月のヒメゴト ~僕と桃香の7日間~
第7章 7日目
斉藤彩ちゃんは、ももちゃんと同じ12歳。北海道で、父親とふたりで暮らしていた。

母親は、彩ちゃんが5歳の時、家を出ていった。父親は言った。『あいつは、お父さんと彩を捨てて、他の男の所に行ったんだ』

父親は、元プロボクサーだった。引退後は、人材派遣に登録して働いていたが、職場で大ケガをして、辞めざるをえなくなった。
それから彼は変わった。
優しく温厚だった父は、荒れてしまい、彩ちゃんに対しても暴言を吐くようになった。

時々、家に恐そうな男が来た。
父はその男と外出しては、多額の現金を持って帰って来た。
子供の彩ちゃんにも、父が何か良からぬ事をしているのがわかった。

悪い噂はすぐに広まる。彩ちゃんの父親は暴力で人を脅して、お金を巻き上げていると。
その真偽は定かでないが、そのために彼女は学校でイジメられるようになった。
仲の良かった友達も離れていった。
誰も助けてくれない。教師でさえも。
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