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不倫のはて
第8章 交差する時


 翌日 夫は
仕事から帰宅すると 
自分の記入の済んだ 離婚届けを
私に突きつけた。

 「俺は もう書いたよ。
後は お前が書いて
出せば 離婚だ。
美鈴のことは ここでみるから。
お前は 母親失格だからな。」


 「わかってます。
後は書いて出しますね。」

 夕食は また水を打ったように
静かな 食卓だった。
誰もなにも 話さない。
ただ 食べて
テレビを眺め 終わると
さっさと リビングから
誰もいなくなった。

 
 さっき渡された 離婚届けに
記入する。
これまでの いろいろな思いが
頭をよぎる。
結婚したばかりの頃
美鈴が生まれた時
家を建てた時
こんな風に
なるとは 思わなかった。
結婚って こんなものだったのか
こんな紙切れ一枚で 
離婚が決まる。
だけどもっと悲しいと
思っていたが
案外あっさりしたものだ。


 翌日 記入した
離婚届けを 
一人で役所に行き
呆気なく受理された。

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