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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第1章 名前は白馬。見た目は王子。
────その後、無事抜け出して合流できた私と白馬くんは
改めて呑み直そうということで近所のファミレスにやってきた。
のだが。
「今夜覚悟してってそういうことね?!」
目の前には酔いつぶれた白馬くんと
何本もテーブルに転がるビール瓶。
どうやらあの言葉は、「酔い潰れるほど呑みますので、お付き合いの程よろしくお願いします」という意味だったようだ。
「にしても白馬くん、これくらいで酔うような人だったっけ?お酒もっと強くなかった?」
「今日は金曜日なんで、酔ってもいい日は酔うんれす。」
「なにそれ笑」
酔っていいから酔えるとか、変な体質だ。
テーブルに突っ伏し、虚ろな目でぼんやり外を眺めていた白馬くんがチラリとこちらを見やる。
「…ねぇ先輩、平田って人。なんてメッセージきてたの?」
平田。私の彼氏。
「別に。明日会おうって言われただけだよ。」
「ふぅん…。」
心配させまいと緩く笑いながら言ったものの、プイと目を背けられてしまう。なんか猫みたいだ。
先程までの思いはどこへやら。
また彼を巻き込みたくない気持ちが逆戻りする。
できれば誰も関与させたくない。
私一人で丸く収められるなら、やっぱりそれが一番いいだろうし。
私はコップに入った烏龍茶を眺め、ぐびっと一気に飲み干した。
────それから会話なんてないまま、どれくらい時間が過ぎたのだろう。体感的には二時間くらい。
ドリンクバーのメロンソーダを飲みながら、追加注文したポテトをつまんで。
外に目を向ければ、そこには何も見えない静かな夜の世界が広がっていた。
「白馬くん、そろそろ行こう。終電逃しちゃう。」
話しかけても全く微動だにしない。
「白馬くんてば。」
肩を揺すってみても起きる気配なし。
…こうなったら奥の手だ。
「そのまま寝てるんなら置いていくよ?真っ暗い中一人残されても平気なんだね?!」
「嫌です待って!」
瞬発的に上体を起こし、私の腕を掴んで訴える。
秘技・子供だまし。幼児に通じる技はだいたい白馬くんにも通じる。
これも二人で飲むようになって知ったこと。