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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第1章 名前は白馬。見た目は王子。
「はいじゃあ立って。帰るよ。」
「うん…。」
しぶしぶ帰る支度をしだす白馬くん。どんだけ帰りたくないんだ。
伝票を渡し、会計しようとお財布を取り出すと、「いい、俺が払います。」と引き止めてきた。
確かに大半は白馬くんが注文してた気がするけど、流石に気が引けてしまう。
「せめて割り勘は?」
「ダメです。諦めて奢られてください。」
「はい。」
うん、テコでも動かなそう。この場は有難く奢られることにした。
お会計を済ませて店のドアを開けると、ひんやりとした空気が全身を襲う。春とはいえ、やはり夜中はまだ肌寒い。
「終電は何時っスか?」
「えーっと確か23時………あっ。」
スマホの画面に表示される時計を見れば、23時40分。
終電は確か23時35分だったから…
「もしかして、逃しました?」
ドキリ。思わず肩が跳ねる。
そして何故か、ニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべている白馬くん。
まさか。
「…ねぇ、ひょっとして、この状況にしたくてわざと酔ったフリしてたの?」
「ピンポンピンポン大正解〜。」
ですよね〜!あなたがあれくらいで酔うとかまずあり得ませんもんね〜!
私が怪訝な顔で睨むも、本人はどこ吹く風。
パチパチと嬉しそうに拍手される。
さて。
なぜ?と混乱はするものの、特に怒りは湧いてこない。
それは、彼が非常識に迷惑をかけるような人ではないと知っているからだ。
つまり、この状況にしたのも何か意味があるわけで。
「うーん」と顎に手を当て考えを巡らせてみるも、一向に答えが浮かばない。頭の上のハテナがどんどん量産されていく。
すると、その様子を面白そうに眺めていた白馬くんがからかうように笑った。
「訳分からんって顔ですね。」
「そりゃそうだよ!意味ないことしないタイプってわかってるから余計に怖いよ!」
もう頭から湯気が立ちのぼりそう。
その様子に、彼はあっさり「わかりました。」と了承してくれた。
「じゃあ回りくどいこと無しで単刀直入に言います。」
急にかしこまる白馬くん。
そして、普段仕事以外では見せない王子スマイルで、彼はにこやかに爆弾発言をした。
「今夜、俺ん家に泊まってください。」
「…はい??」