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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第6章 会社の同僚「蛇塚さん」
「ん。じゃあ先輩立って。」
「え?」
私の手を前に引っ張り、立つよう催促してくる。
とりあえず言われるがまま立ち上がると、
彼はそのまま手を引き、
くるりと私を後ろに反転させて引っ張った。
────ま、まさか。
ポフンと彼の膝上に座らせられ、
後ろからお腹に手を回される。
私の肩には彼の綺麗なお顔が乗り、
そのままスマホを操作しだした。
「これならずっとぎゅって出来るでしょ?」
「〜〜〜っ!」
できる、できるけど死んじゃいそう……。
全身が熱い。
本人は平然とスマホいじってるし、
身動き取れない感じがすごく緊張する。
「あ〜どうすっかなぁ。フォルダにいい感じの写真ないか探してんだけど、あんま良いのねぇや。」
白馬くんのスマホ画面を見ると、
そこには動物やら景色やらの画像がたくさん並んでいた。
ナルシストなのに自撮りがない。(偏見)
「…あ、白馬くんこれは?」
目に止まったのは高校生くらいの頃の写真。
奥にフリが写ってて、ピアスがじゃらじゃら。
二人共制服を着崩している。
…あれ、これってまさか。
「ダメですこれは黒歴史なので絶対ダメです。」
この反応絶対そうだ。
フリが言ってたグレてた時代だ…!
「白馬くん見たい!不良時代見たい!」
「えっ、何で知ってんの?!つか急に元気になるね?!」
戸惑う白馬くんをよそに、
ポチッと画像を押して拡大する。
わぁぁホントにグレてる…!
顔幼い。可愛い。
ピアスすごく似合う。
「なんか、カッコ可愛いって感じだね。この時から女の子にモテてたでしょ?」
興味本位で聞いてみると、
彼は少し顔をしかめ、言葉を詰まらせた。
なんだか言いにくそう…?
「いや…まぁ、はい。モテてはいたんすけど、…ちょっと先輩にまだ話せてないことがあって。」
…こんなふうに言い淀む白馬くん初めて見た。
相当なことなのだろう。
普段の自信満々な彼の姿は欠片もなく、
あるのは伏せ目がちに視線を落とす、弱々しい姿だった。
「ほんと、先輩に殴られても別れ切り出されても文句言えないようなことなんです。告白したときに打ち明ければ良かったのに、怖くて、言えてなくて。」
「…うん。」
それでも今、言おうと決心しているのだろう。
彼は私に回している腕に力を入れ、深く俯いて声を発した。