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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第7章 小さな変化
────「蛇塚さんって彼氏さんいるの?」
近くのゆっくり出来そうなカフェで、
コーヒーを飲みながら聞く。
ちなみに彼女はオレンジジュース。
苦いのが苦手なんだって。
どこまでも可愛い。
「恋人はおりませんわ。」
「えっ、そうなの?」
「えぇ」とあっさり彼女が答える。
蛇塚さんに恋人がいない…だと……?
どういうこと?
こんなに可愛くて素敵な女性を
男性が放っとくわけないのに。
「告白はたくさん受けるのですけど、全部お断りしてますの。どうしても、ずっと心に引っかかっている方がいて。」
「そうなんだ…。」
…つまりは片想いをしているってことかな。
蛇塚さんに想われてる人とか、相当素敵な男性だよ。
彼女はどこか浮かない表情を浮かべながら、
ストローでオレンジジュースをかき混ぜる。
そして、ふと私に一つの質問を投げかけてきた。
「ユイさん、ウサギはお好き?」
「え、ウサギ?う、うん、可愛くて好きだよ。」
突然のウサギの質問。
ウサギ……うん、普通に好き。
モフモフしてて見た目可愛くて。
私の答えに蛇塚さんは柔らかく微笑むも、
少し儚げな表情を見せた。
「そう。わたくしもウサギは大好きですわ。
……でも、兎は嫌いなの。」
??
ウサギが好きで嫌い?
意味がわからず、
ひたすら頭の上にハテナマークを量産していると、
その様子を見た彼女がフフッと笑った。
「わたくしが馬鹿げた恋をしているというだけですわ。そんなお悩みになられないで。」
「…うん。」
彼女が困ったように笑顔を見せる。
そっか、蛇塚さんみたいな女性も恋に悩むんだ。
やっぱり、恋の大変さは見た目とか性格関係なしに同じなのかな。
なんて、そんな事を思いながら
口元までコーヒーカップを持ってきた、そのとき。
「ところで、黒哉様はユイさんと二人きりだと
どのような感じになりますの?」
「ン"ン"ッ?!」
彼女から、また突然すごい質問をされた。
え、これどう答えればいいんだろう。
だって蛇塚さんは王子の白馬くんしか知らないんだから、
正直に答えるとキャラ崩壊に繋がるよね?
曖昧に濁す?
王子キャラだったらこういう感じになりそうって、
イメージで話しちゃう?
うーん、なかなかに困った。