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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第8章 初デート


ひたすら頭の中でツッコミを入れていると、
不意に彼らが私の腕を掴んできた。
そのまま力任せにグイグイ引っ張り出す。


「ちょ、やめてください!」
「ね!俺達と一緒に来れば楽しいことが沢山あるよ!ほらおいで!」


だめだ話が通じない。
男二人に女一人。腕も掴まれ圧倒的に不利な状況。


しかし、私の心に恐怖は微塵も湧かなかった。






なぜならば。














「やめろって……言ってるでしょ!!」

「なっ?!」








このときの対応を、護身術で習っていたからである。


咄嗟に掴まれていた手首を回転させ、
腕を引き抜き距離をとる。

相手の腕が曲がらない方向へうまく捻れば、
そのまま相手の身体は崩れ落ちるのだ。

ほらね、今も私の腕を掴んでた男が地面に崩れてる。


このあとの対応は、とにかく距離をとって逃げること。
相手が逆上して、
何をしてくるか分からないからね。




……なんだけど。










「アンタら、俺の彼女になにしてんの?」








うん、逃げる必要なさそう。

後ろを振り返れば、不良オーラ全開の白馬くんが
彼らを見下ろしていた。

平田くんのときよりは怖くないけど、
相変わらずの冷たい気迫。
それでも、私を見るときの目は優しくて。


「先輩大丈夫?痛いとこない?」
「うん全然平気だよ。なんも怖くなかったし。」


そう答えると、
白馬くんは安心したように私の頭を撫でた。

そしてまた、凍てつくような眼差しで
地面に座り込む彼らと目線を合わせる。
その表情を見たチャラ男が、ビクッと顔を青くさせた。


「人の女に手出してる暇あったら、さっさと家帰って勉強でもしてろよガキが。」


あぁ、不良がカムバックしてるよ白馬くん。
不良グループの親玉がチンピラを睨んでる図になってるよ。

ほんと、きれいな顔立ちしてるせいか、
凄むと異常に怖いんだよね、彼。


白馬くんの威圧感に負けたのか、
二人のチャラ男が顔色を変えて慌てて去っていった。

それを確認したあと、くるっと彼がこちらを振り向く。

その表情は、いつも通りで。


「先輩地味に身体つきいいんだから気をつけなよ。俺ヒヤヒヤするわ。」
「えぇ、身体つきは仕方なくない?」

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