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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第9章 白馬黒哉について
────白馬サイド────
過去。
…の話をする前に言わせてくれ。
俺の過去とか本ッッ気でしょうもねぇんだよ……。
というのも。
今このシリアスな雰囲気で、
「白馬黒哉について」とかって
大々的な題名つけられてんじゃん。
めっちゃ丁寧に掘り下げるんだろうなって思うじゃん。
ごめんな、期待裏切るわ。
サラサラッと話して終わりにします。
だからみんな、気張らずポテチでも食べて
「へー」って感じで軽く聞いてくれ。
そっちの方が、俺も幾分か話しやすいから。
────「偉いわ黒哉、今日も練習を頑張ったのね。」
これは母親。たぶん俺が八歳くらいの頃の記憶だ。
「うん!ぼく頑張ったよ、すごいでしょ!」
キツイ武道の練習をこなすと、
毎回母さんが俺の頭を撫でてくれた。
それが日課、それが癒やし。
そのためだけに頑張ってた。
……すげぇピュアだな、俺。
「お父さん厳しかった?」
「……父上は怖い。」
笑顔を引っ込めて、プイっと顔をそむける。
御堂形家は世間的に見て大層なお家らしい。
そのため、その血を引き継ぐものは常に気品高くあれと
口を酸っぱくして言われてきた。
それでも、基本中身がガキな俺のことだ。
そんなの辛いし無理にも程がある。
「黒哉、少し来なさい。話がある。」
ガチャッとドアが開く。
俺に声をかけたのは親父だった。
「……ええ、わかりました父上。母上、行って参ります。」
作り笑顔で親父の方へ向かう。
どこでも常に、品位あるキャラを求められていた。
それは家族間でも同じ。
親には敬語と敬意を払って生活する。
でも、「私にはそのままのあなたでいいわ」と、
前に母さんが俺に言ってくれた。
親父が見てないとき限定で。
それが、当時の俺にとって大きな救いで、
唯一の心の拠り所。
ずっと仮面を被って生きるって、結構大変なんだよ。
「父上、お話とは?」
連れてこられたのは親父の書斎。
コイツはよくここでふんぞり返ってる。
「お前は武道のセンスがいい。本来ならばもう数年私と基礎を学ぶのだが、少し計画を早めることにした。」
「そ、そんな。父上、僕はまだまだです。もっと基礎を練習しないと……、っ!」