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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第9章 白馬黒哉について
通うのは、名門私立の中高一貫校。
まるでレールの上を走っているかのように、
俺の人生は親父に握られていた。
俺も、それに従うのが最も利口で安全だと信じていたから、
息苦しいだけで苦痛に感じることはなかったのだが。
……ある日の夜、親父から告げられた言葉で、
俺は大きな反抗期を迎えることになる。
「父上、どうされました?」
「いいか黒哉、つまらん友情ごっこはするなよ。高校は仕事の延長線だ。利益のある生徒と、利益の良い関係を築きなさい。
これは命令だ。」
────プチン
俺の中のなにかが、切れる音がした。
あぁ、もうだめだ、笑顔を作れない。
コイツにとって、俺は御堂形の道具でしかなかったのか。
抑制して、従わせて、自分の思い通りの駒にさせる。
親父にとって俺は「御堂形黒哉」という人間じゃない。
ただの「御堂形の息子」だったんだ。
「自分を見失うな」という龍さんの言葉。
……その意味がここでよく分かった。
この高校で親父の思うような人間を演じれば、
今度こそ俺はダメになる。
これまで、溜まりに溜まった鬱憤がとめどなく溢れ出して。
────気づけば俺は、親父をぶん殴っていた。
「…いい加減にしろよクソ親父……、俺はてめぇの駒でもなんでもねぇんだよ!その高校には行かねぇ、これからは全部俺の意志で決める!」
何が起こったのか理解できない、といった親父の顔。
それもそうだ。
ガラの悪い素の俺を見せるのは初めてだったから。
呆然とする親父を置いて、部屋を出る。
こうなったらとことんアイツに反抗してやろう。
そう思った俺は、教育困難校で有名な高校に入学した。
名字が御堂形ではバレてしまうから、
母方の姓である白馬に変更して。
ここから、白馬黒哉「不良時代」の幕開けである。