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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第9章 白馬黒哉について
────「黒哉クン、大学はどうするデスカ?」
教室でフリが俺に聞いてきた。
コイツは俺が御堂形の息子であることを知っているから、
これからのことが気になったのだろう。
「適当なところに行くよ。とりあえず一人暮らしして家を出る。御堂形の跡はぜってぇ継がない。」
「あはは〜、ナルホド〜。
卒業してもグレ続けるわけデスネ。」
当時の俺はかなり荒んでいた。
家では断固として親父と関わらず、
学校では女と喧嘩に明け暮れる。
……うわぁ、今思うと相当クソ野郎じゃん俺……。
まぁそれでも、この学校生活はなかなかに悪くなかった。
フリとうさ…、うさについてはこれから出てくるけど、
長く続くいい友達にも出会えたし、
人の顔色を伺って仮面をつける必要もない。
これまでにない解放感。
すごく楽で、俺にとって大切な時間になった。
────「親父、俺一人暮らしするから。」
書斎。
流石にこれは親に伝えなきゃいけない。
罵倒されるのを覚悟で告げると、
アイツは否定するでもなく、
意外なほどあっさりと受け止めた。
「……そうか。ならば部屋は私が用意しよう。一人暮らしをして、少し頭を冷やすといい。」
若干、癪に触る言い方。
それでもなんのトラブルもなく、
すんなり俺は御堂形を出ることになった。
ちなみに言っておくけど、
親父は俺と違って企むタイプじゃない。
むしろ猪突猛進タイプ。
不器用なほど、本心しか言えない。
「ハイハイわかりましたよ。それじゃあな。」
そう言って、部屋を出ようとしたとき。
「……黒哉、すまなかったな。」
アイツが、謝った。
目を見開き、ゆっくり振り返ると、
そこには笑えるほど弱々しい顔をした親父の姿が。
……アンタそんなキャラじゃねぇだろ。
「……別に。今更謝られても遅ぇし。」
ただそう言い残して、静かに部屋を出る。
お互いに中身がガキだからこうなった。
どちらが悪いとかじゃない。
たぶん、どっちもどっちってやつだ。
親父に用意された家は、
知っての通り、あのデカいマンション。
一人暮らしであの大きさはないだろ。
……まぁ、用意された以上住むけどさ。