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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第9章 白馬黒哉について
────「まぁそんなこんなで、先輩にだけ思い切って素を見せることにし、今はこんな感じ〜ってね。はい以上です、俺のつまんねぇ過去の話終わり!」
大雑把に説明したけど、思った以上に長くなったな。
みんなごめんね、長々とつまらん話を。
二人はひたすら呆然としてる。
「……うん、白馬くんの過去は凄かったんだけど。とりあえず、お父さんのこと殴っちゃったか〜っていう。」
「山下さんに同意です。」
俺を見ながら、二人してウンウンと頷く。
そこかよ。
まさかのツッコむところそこなのかよ。
「しょうがねぇじゃん、プチッときちゃったんだから。」
……まぁやりすぎた感は否めねぇけど、
過ぎたことはしゃーない。うん。
罪悪感は拭えないけどさ。
若干ふてくされていると、
先輩がなだめるように口を開いた。
「でもあれだね。聞いてる限り、お父さん悪い人じゃなさそうだね。」
……わかってる。
これは俺が意地を張ってるだけだ。
親父はとっくに反省してるし、
俺の意思も一応尊重してくれてる。
その証拠に、未だに心配する電話はかかってくるわ、
なぜか毎月お金が振り込まれてくるわで……
────うん、そりゃもう親バカ感がすごい。
「……たぶん、俺が折れて家に戻れば喜んで迎えてくれる。けど俺のプライドがそれを許さないから、まだ戻らない。」
ムスッと視線をそらして答えると、
先輩が困ったように笑った。
「いいと思うよ。白馬くんが戻りたいなってときに戻れば。」
「ええ。お父様もきっと、気を長くして待ち続けておられますよ。なにせ、大事な一人息子ですから。」
二人が微笑みながら、優しく同意してくれる。
……俺も随分と人に恵まれているようだ。
素を出せて、それを認めてくれる存在って結構少ない。
母さんを失くしてる今、
その大切さは痛いほどに分かるから。
「……二人共ありがと。すげぇ気が楽だ。」
くすぐったい雰囲気の中、三人で部屋を出る。
懐かしい練習風景。
俺もガキの頃よくやったなぁ、なんて。
「……あ、そこの男の子。ここはもっと力抜いた方が上手くいくよ。それだと腕辛いでしょ。」
つい口を挟んでしまう。
すると、先輩と龍さんが生暖かい目で俺を見てきた。
しょうがねぇじゃん、気になんだもん。