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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第9章 白馬黒哉について
「あっ、ホントだすげぇ楽!お兄ちゃんありがと!」
「はいはい。」
……あぁもう二人の視線が心地悪い。
「ちょっと、そんな目で見ないでよ。」
怪訝な目で二人を睨むも、
むしろニマニマ感が増すだけ。
つか龍さん、今日はやけに表情豊かだな。
ご機嫌かよ。
「ふふっ、ごめん白馬くん。なんか微笑ましいなって。」
「当時の面影を感じます。」
ほらぁ、過去のこと話したらすぐこれだよ。
軽蔑も批判もせずに受け入れてくれるのは
めっちゃ嬉しいんだけどさ。
……くそ、こういう雰囲気は苦手だ。
俺が誰かにそういう目を向けるのは大好きなのに。
「ほら、いいから先輩帰るよ。龍さんもありがとね。」
先輩の背中を押して急かす。
この雰囲気でこの場に留まるのは俺が辛い。
すると、龍さんが出口まで付いてきて、
俺たちを見送ってくれた。
「こちらこそ、私めに過去のことをお話ししてくださりありがとうございました。
山下さん、黒哉様のこと、よろしくお願い致します。」
龍さんが深々と俺たちに頭を下げる。
それを見て、先輩は慌てて両手を横に振った。
「いえ、むしろ白馬くんには助けられっぱなしなので。こちらこそ、白馬くんの支えになってくださってありがとうございます。」
彼女もまた深々とお辞儀する。
え、なにこの「俺の保護者×2」みたいな構図。
俺完全に立ち位置子供じゃん。
流石にちょっと嫌だ。
「……先輩行こ。龍さん、この子のことよろしくね。御堂形の技術いっぱい教えてあげて。」
子供のままでは癪なので、俺も保護者になってみる。
先輩の頭を撫でれば、
彼女は少し顔を赤らめて俯いた。
「ええ、承知です。それではお二人とも、また。」
龍さんのお辞儀を最後に俺たちは教室を出る。
正直過去を話すのはかなり緊張したけど、
話せてよかった。
御堂形の息子であることを知った途端、
態度が急変する人たちばかり見てきたけど、
「?どうしたの白馬くん。」
さすが、先輩は全然変わんねぇや。
じっと先輩の方を見る俺に、
彼女が不思議そうな顔をする。
……あーやっべ、イタズラしたくなってきた。
「……別になんでもないよ。ただ────」
そう言いながら
彼女の唇に小さく口づけを落として。
「────無性にキスしたくなっただけ。」