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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第10章 甘い微熱と寂しさと
────白馬サイド────
っっぶねぇぇぇ……
不意打ちすぎて今キスしそうになったわ
耐えた俺すごくない?
正直、風邪とかうつってもいいんだよね。
彼女のなら尚更。
風邪を貰って、
その人の代わりに治せるシステムでもありゃいいのに。
俺、身体は丈夫だから役に立つよ。
……つか、今日なんとなく気付いた。
この前あんだけ俺に「寂しくないか」って聞いといて、
彼女の方がかなり寂しがってる。
しかも本人は無自覚ね。
熱だから寂しいんだ〜って思ってる。
……弟の親代わり。帰りの遅い両親。長女。
それだけで家庭環境が見えてくる。
これだと人にワガママ言える人間にはならないよな。
あとこの部屋ね。
部屋ってその人の心を映し出すって言うじゃん。
……最初来たときに思った。ぬいぐるみが沢山。
単に趣味かなとも思ったけど、それにしては多すぎる。
たぶん、一人が寂しくて無意識に集めちゃってるやつだ。
何でもかんでも一人で抱え込む人だし、
他人に迷惑をかけちゃいけないと思ってる。
その結果がこれ。
孤独感がでて、無機質なぬいぐるみに依存する。
……彼女はそのことに気付いてないだろうけどね。
眠っている彼女の頬を撫でると、
その手に甘えるように頬をすり寄せてきた。
小動物みたいで可愛い、なんて。
そう思ったそのとき。
「ん……くろ……。」
「────っ!」
破壊力のありすぎる寝言を言われた。
ちょっと流石に反則だろ。
無自覚煽りスキル高いよな、この子。
本人が起きないよう静かに身を乗り出し、
彼女の唇に優しいキスを落とす。
ご褒美にって言われたけど、
そのときは深いのするからこれはノーカンだ。
「おつかれ、ユイ。」
そっと囁くと、彼女の表情が心なしか柔らかくなった。
……あーあ、俺も熱あんのかも。
彼女を前にすると普段より頭回んねぇし、
身体熱くなるし。
ついでに動悸も激しくなる。
常に微熱だ。……甘い微熱。
治療薬は、どこにもない。