この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第10章 甘い微熱と寂しさと
────熱を出してから一週間後。
やっっと風邪が治った……!
身体ってこんなに楽なものだったっけ?
頭も痛くないし、だるくないし、
視界も全然ボヤけない。
素晴らしい、生きるって素晴らしい。
熱が治った嬉しさで思考が浮きまくってるけど、
気にしないぞ。
気にしたら負けだ。
そんなこんなで気分ルンルンで出勤です。
いつも通りに職場のドアを開けて、
部屋に足を踏み入れると────
「「「ユイ先輩あの話は本当ですか?!」」」
「へっ?!」
突如女の子たちに囲まれた。
そして謎の質問をされた。
なになに、あの話ってなんのこと??
「えっと、なんの話だっけ?」
とりあえず、とぼけて彼女たちから内容を聞き出す。
すると、彼女たちの口からまさかの言葉が飛んできた。
「あれですよ!ユイ先輩は亡くなった白馬くんの妹さんにそっくりっていう!」
「────はい?」
ま、待って待って待って。
一体なにが起きてるの?!
もしかしてこれ?
これなのか?!
白馬くんが言ってた、「ちょっと大変かもしれないけど口裏合わせよろしく」ってやつは!
席に座る白馬くんの方に目をやれば、
彼はニパッと悪意のない笑顔をこちらに向けてきた。
はい、犯人確定(真顔)
死んだ目になった私に、
彼女たちは更に驚きの言葉をかけてきた。
「あの情報通な蛇塚さんが仰ってたんです!だから確かな情報なはず!」
嘘でしょぉぉぉぉぉ?!
蛇塚さんにまで協力してもらったの?!
確かに彼が頼めば
彼女は喜んで協力すると思いますけど!
うわぁどうしよう、
とにかくここはいい感じに合わせなきゃ。
「う、うん、なんかそうみたい。だからこの前も放っとけなかったらしくて……。」
「あぁなんて切ないお話……!白馬くんの家族愛がヒシヒシと感じられて胸が締め付けられます……!」
す、すごいなぁ。
恋は盲目とかよく言ったものだよ。
こんな適当な口裏合わせでお涙頂戴の話に飛躍した。