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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第11章 神社の息子
「でも食べたいデス……。」
その言葉に、白馬くんが困ったように頭をかく。
そして、彼にしては珍しく、
かなり譲歩した提案をフリに出した。
「……あー、じゃあわかった。今から三人でジャンケンするから、負けた人付き添いな。」
「はぁ?!」
うささんが素っ頓狂な声を上げる。
そうだよね、私もだけど勝手に巻き込まれてるもんね。
しかし白馬くんはそんな彼のことなどお構いなしに、
あれよあれよと進めていく。
「もちろん出さなかった人もフリの付き添いだから。ほらいくぞー、ジャーンケーンポン。」
「ちょっ、まっ……!」
白馬くんが突然つけたルールに、
うささんが慌てて手を出す。
素直な人だなぁ。
えーっと、
私とうささんがチョキで、白馬くんがパー。
ってことは、
……あれ。
「嘘だろ……言い出しっぺの俺が負けたんだけど……。」
「アヒャヒャヒャざまぁねぇ!wwwww」
まさかの結果に固まる白馬くんを、
うささんが全力でバカにしてる。
男子高校生のノリだ。すごく楽しそう。
「あの、白馬くん。もしだったら私行こうか?」
別に付き添いとか面倒じゃないし。
そう思って彼に一応聞いてみるも、
あっさりと首を横に振られてしまう。
「いや、大丈夫です。俺行きます……。」
「では黒哉クン!一緒に参りまショウ!」
テンションが低い白馬くんの腕を、
フリが笑顔で引っ張っていく。
徹夜明けで寝不足な飼い主と
散歩に出たい元気な犬みたいだ。
……ん?
でも待って、ということはさ。
私と女性が苦手なうささんの二人きりだよね……?!
その事実に気付いたと同時、
白馬くんが「あ」と言いながら足を止めた。
フリもキョトンとした顔で彼を見る。
「そうだ、うさ。」
「あ?」
白馬くんがフリに掴まれた腕をほどき、
うささんの前までスタスタと歩いていく。
そして、彼の肩に手を置いて、
実に爽やかな笑顔でサラリと告げた。
「俺の彼女に手出したらぶっ飛ばすからな?」
地を這いずるような低い声に、
その場にいた全員がピシャリと固まる。
なんだろう、ナンパされた時とはまた違う威圧感。
友達用に少し柔らかくしてるのかも。
あの時より不良っぽくないし。