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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第11章 神社の息子
……初対面で踏み込んだ質問もどうかと思うけど、
聞いてみてもいいかな。
「……あの、うささん。」
「うさでいい。つかタメ口で来いよ。」
呼び方を訂正されてしまう。
フリもそうだったけど、
すごくカジュアルに距離を縮めてくれるなぁ。
呼び捨てでタメ口とか、友達みたいでなんだか嬉しい。
「えと、じゃあ、うさ。」
「おう。」
慣れない呼び方に少し戸惑うも、
彼がきちんと相づちを返してくれる。
うん、やっぱりいい人だ。
心の中でふふっと笑いながら、彼に質問を投げかける。
「その、答えたくなかったら別にいいんだけど。どうして女性が苦手なの?」
すると、その問いかけを聞くなり、
彼が少し険しく複雑そうな表情を見せた。
……思ったとおり、ただ純粋に苦手ってわけじゃなさそう。
彼は眉をひそめたまま視線を横に逸らし、
ゆっくりと口を開いた。
「……幼馴染の女の子によ、すっげぇ酷ぇことしちまったんだよ。心にもないことぶち撒けて、彼女が傷つくことしちまって。そっからクラス中の女から非難の目で見られまくって、トラウマみてぇに怖くなった。
……そんだけだ。」
記憶を辿って言葉を呟きながら、彼は儚く笑う。
幼馴染の「女の子」
彼はこれまで女性を「女」としか呼ばなかったのに。
それだけ、今も幼馴染の子を大切に思ってるのかな。
彼女と会えば、少しは状況が変わりそうだけど……
「今はその子とどうなったの?」
「疎遠になった。どこで何してるかもわかんねぇ。」
……やっぱり、もう関わってないのか。
彼の伏せ目がちな表情と、小さく弱々しい口調。
それだけでわかる。
彼は彼女に対して、
未だに後悔して、罪悪感を抱いている。
そう察した私は、
彼の本心を聞き出すように、一つの質問をぶつけた。
「……ねぇうさ、もし彼女と会えるとしたら、あなたはどうしたいの?」
ピクッと彼のまぶたが動き、
思案するように視線が動く。
そして、頬杖をついていた手を
テーブルからゆっくりと下ろし、
私の目をまっすぐに見つめた。
今にも消えそうな、力ない笑顔。
それでも、口調はびっくりするほど優しくて。
「……ただ、謝りてぇなぁ…。」
────彼の心からの願望が、
ポツリと静かな部屋に響き渡った。