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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇
小学校に上がってからは名前でいじられることが減り、
平穏な毎日を送れたわ。
ちなみに、わたくしは教室の隅で本を読んでるタイプ。
最初からこんな性格じゃなかったのよ。
それは中学生になっても変わらず。
極力人と関わらないで、静かに静かに過ごしていたの。
────けれど。
「なぁ、蛇塚って胸大きいよな。」
「声でけぇよバカ。」
……思春期だからかしら。
わたくしに向けられる男の子の目が、すごく性的になった。
正直それは不快でしかなくて。
兎とも疎遠になりつつあったものの、
かなりやり取りはしてましたわ。
彼は頭が良いから、よく勉強を教えて頂いてたの。
兎は男の子の性的な会話には参加せず、
むしろ否定的なくらい。
彼だけは今まで通り、
ちゃんとわたくしを見てくれていた。
心地よかった。
「ねぇ兎、あなたはどんな女の子が好きなの?」
彼の家で一緒に勉強をしているとき、
そう聞いたことがありましたわ。
今思えば、きっとこの頃から彼が好きだったのね。
当時はあまり自覚がありませんでしたけど。
「あ?んだよ急に。」
「別に、なんとなくよ。あなた女の子に関心を示さないから、少し気になっただけ。」
────うそ。
少しどころか、本当はかなり気になってた。
でも、がっつくのは恥ずかしいから、
なんてことない風を装って聞きましたの。
そしたら、真っ直ぐな彼は真剣に考えだして、
ポツリと呟いたの。
「……お嬢様タイプ?」
……この言葉が、今のわたくしに繋がってる。
けど、当時は「ふーん」って流しただけで、
何も変えなかったのよ。
言われてすぐ意識するなんて、恥ずかしいじゃない。
このキャラになり始めたのは、中学を卒業したあたり。
……兎と喧嘩して、離れ離れになってから。
────中学三年の夏。
その日もわたくしは、
兎に勉強を手伝ってもらう約束をしておりました。
部活も終わって帰ろうとしたとき、
ペンケースがないことに気付いたの。
たぶん机の中に忘れてきたのね。
そう思ったわたくしは、一人教室へ向かったわ。
すると、その教室から複数の低い声がした。
気づかれないように中の様子を伺えば、
そこには兎と数人の男の子がいて。