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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇
────山下サイド────
「あっ、フリおかえり!」
「ただいまデース!」
私と白馬くんは旅館に戻り、みんなの帰りを待っていた。
フリが帰ってくるまでお風呂に入っちゃだめって
言われたんだけど、
香水の匂いを辿って来れなくなるからなんだね。
今ごろ気付いたよ。
「僕はどっちの部屋デスカ?」
「前と一緒。先輩たちがいた部屋に、うさと蛇塚さん押し込む予定だから。」
白馬くんがそう答えると、
「ハイデス〜」と言いながらフリは部屋に戻っていった。
……どうしてフリがそんな質問をしたのか。
実は白馬くん、問答無用で
あの二人に話をさせようとしてるんだよね。
旅館に帰ってきて早々、
「荷物移動させて部屋整えますよ」って
白馬くんに言われてさ。
私が元いた部屋に、うさの荷物移動させて、
布団もちゃっかり敷いちゃったの。
なぜ布団までって感じだよね。
白馬くんのことだから何か見通してるんだろうけど。
すると、奥から廊下を歩く足音が聞こえてきた。
こちらに向かってきてるのか、
少しずつ音が大きくなっていく。
廊下の角を曲がり、姿を現したのは。
「……うさと蛇塚さん!良かった、二人とも無事で……って、蛇塚さん顔真っ赤だね?!」
うさと、彼にお姫様抱っこされて顔を赤くする、
蛇塚さんがいた。
うん分かるよ。
お姫様抱っこって恥ずかしさが凄いよね。嬉しいけど。
「う、兎……そろそろ下ろして頂いてもよろしくて……?」
「あ?部屋で下ろすから我慢しろや。」
うさが器用に襖を開け、蛇塚さんのいた部屋に入っていく。
────そう、あの準備された部屋に。
「は?なんで俺の荷物がここに……」
謎の状況に戸惑いを見せるうさ。
そんな彼を放置して、
白馬くんが爽やかな笑顔で二人に告げた。
「それではお二人共、ごゆっくり。」
「?!おい、はくば……っ」
うさの呼びかけ虚しく、
白馬くんが容赦なく襖を閉めた。
流石だね、やると決めた彼に情もなにも無い。
「ねぇ白馬くん、ホントに二人にして大丈夫なの?」
だってあんなことがあった後なのに。
少し心配で彼に聞くと、
彼はなんてことないような顔で答えた。